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不動産名簿

相続、空き家、これからますます拡大する市場にどうアプローチするか?

相続、空き家、これからますます拡大する市場にどうアプローチするか?

目次

地方都市にありがちな中古物件

不動産の相続、空き家は、ともに大きな市場です。ふだん当社の「リストる」(不動産オーナー名簿作成代行サービス)を通じ、不動産オーナー様へのアプローチを支援している筆者ですが、今回は自らがオーナー側の立場(空き家を相続する立場)となりましたので、空き家に対するオーナーのキモチを書いてみます。

物件は、北関東県の人口数万人都市、JR最寄駅徒歩17分。土地面積約100坪、家屋の大きさは約140㎡の5LDK。築年数26年の空き家です。けっして資産性の高い不動産ではありませんが、今のところ不動産業者も取扱いを遠慮する不動産ではなく、おそらく格安で売りに出せば買い手は付くであろう「中古の戸建」です。

わずかながらも移住ニーズ(都内の家やマンションを引き払った老後のリタイアメント層)もあり、価格相場はここ数年で上昇したとのこと。新築価格が高騰するなか、中古物件に対する期待もあるそうです。とはいえ、築26年、デザインや設備もちょっと旧タイプの家がそうカンタンに売れるものでもなく、相続を受ける筆者としては、あまり考えたくない面倒な事案ではあります。

空き家の前兆を読む

筆者としては物件の売却支援や賃貸運用、あるいは修繕メンテナンスなど、さまざまな提案を受けたい立場です。したがって、本件に関してDMや営業電話は基本的に歓迎です。ただし、それは相続を受けた現在の立場であり、両親が存命の5年前はそうではありませんでした。「売りに出してみないか?」という不動産会社の提案をお断りしていたのです。

5年経った今、その時に提案をいただいた不動産会社様1社限定で面倒をみていただいております。レインズ(不動産業者間のネットワークシステム)への掲載もお断りし、今のところクローズドな物件としてお願いしています。不動産会社様としては、いわゆる「両手取り」(売り側と買い側の両方から手数料を取る)ができる「おいしい立場」です。なぜ、この不動産会社様はその立場を獲得できたのか。それはこの業者様が地域での売買実績が高いことはもちろんですが、「5年前にアプローチをいただいていたこと」も大きな理由です。

早晩、相続が起こることも見越し、売買の相場感や自社の実績情報などをおせっかい気味に、さりとて押しつけがましくなく、ほどよい距離でアプローチいただいたことは大きかったといえます。

信頼を得る期間

考えてみれば世にある持ち家(マンション含む)の多くは、いずれ空き家になる宿命にあるといえるでしょう。その時期がいつかは各々ですが、空き家になる予兆はあるのです。筆者の場合、両親が老人ホームに入った時期です。そうした前後でほどよい距離感でオーナーと信頼関係を築けるかどうか。これは不動産売買業者としては大きな努力ポイントでしょう。

相続が起こりそうなフェーズから、実際に相続が行われるフェーズには時間差があります。筆者の場合は5年間でした。この5年の間に、オーナー側の家族の状況、心理的な変化は進みます。この期間のどこかで信頼関係を形成できるかどうかが不動産売買業者の腕の見せどころだと考えます。

以上はあくまでも筆者個人の判断と心理ですが、これからますます増えるであろう「相続」「空き家」市場にアプローチするうえで、参考になれば幸いです。

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