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不動産業界においてもオンラインによる非対面接客や、IT重説(重要事項説明)、クラウドサインによる契約など、デジタル化がどんどん進みつつあります。デジタルツール導入に際しては、とくに高齢者の顧客に対する是非が議論されることが多いように思われます。「うちの顧客は高齢者が多い。だからファクス受付も用意しておこう」というようなお話しです。
確かにオンラインの申込フォームよりもファクスの申込書や、ZOOMよりも来店カウンター席の方が安心感を覚える方が(年齢を問わず)一定数いることは否めません。そのような方への配慮がどれほど必要かはわかりませんが、筆者はかなり早い将来、不要になるのではと感じ始めました。きっかけは以下にあります。
筆者はこの秋(2021年)、ある国家資格(不動産関連資格)のオンライン化業務に携わりました。リアルの会場に出かけて行き1日がかりのセミナーを受講し修了証が付与されるその資格制度を、オンライン上にそっくり再現するというものです。具体的な資格名称は控えさせていただきますが、計画上のお話ではオンライン講習に流れる受講者は1か月あたり200~300人程度だろう(年間3,000人程度)というお話しでした。しかしながらローンチ初日で早くも100人を越え、30日間では1,400人以上もの方々がオンライン講習に流れてきたのです。
目論見の6~7倍の勢いです。長らくオンライン開催が待たれていたという初動の勢いがあるのかもしれませんが、それにしても想定外の支持率です。また、「パスワードがわからない」「画面のインターフェースが使いづらい」といった問い合わせやクレームは、もちろん一定数発生しておりますが、覚悟していたよりは少ないな、というのが筆者の印象です。
このオンライン講習を受講された老若男女の方々が1,500人を越えたところで「年齢」でフィルタリングしてみたところ、最高齢はなんと89歳の男性の方でした。80代の方はこの方を含め4人いらっしゃいます。70代の方は59人。60代に至っては263人にも上ります。ざっくり1,500人の約20%(5人に1人)の方が60歳以上です。
はたして80代の方々が、ご家族や部下?のサポートなく本当におひとりでPC操作全てを達成されたのかはわかりませんが、システムに対するヘルプ要請は年齢差というよりも個人差の方が大きいような気がします。けっして「70代だからデジタル弱者である」というようには思えません。考えてみてください。今年70歳の方はGoogleが登場した20年前は当時51歳。現役一線でビジネスをされていた方々です。デジタルツールを「避けて通る」という方ばかりではないでしょう。
「高齢者向けに紙(FAX)の申込書を用意しておこう」「高齢者にZOOMはムリでないか」そういった配慮はあと5年、いやもっと早期に不要になるではないかと思うのです。2021年現在、80代の方(4名ですが)にもオンラインで通用しているのですから。